「日本解体新計画書」としての公民教科書(10)――経済的自由、私有財産制(『史』令和5年11月号)

 《「日本解体新計画書」としての公民教科書》を『史』に連載し続けている。個別テーマに関する論考は今回の10回目で終わる。経済的自由と私有財産制に関する公民教科書の記述がテーマである。このテーマに関しては、少しは令和元年度検定で意見を付けられたが、あまり我々と教科書調査官との間で意見が対立することはなかった。しかし、昭和20年代以来、公民教科書は経済的自由を軽視し、私有財産制の意義を説くことはほとんどなかった。やはり、教科書執筆者の社会主義礼賛傾向が現れていたとみることができる。
 
 あと1回で、このシリーズも終わるが、ラストは公民教科書の全般的思想について記した。2か月後に、本ブログに転載予定である。ともあれ、興味のある方は読まれたい。


「日本解体新計画書」としての公民教科書(10)
――経済的自由、私有財産制

               『新しい公民教科書』代表執筆者 小山常実

自由権を異常に軽く扱ってきた公民教科書

 日本は自由主義、資本主義の国家であるということになっている。自由主義、資本主義にとっては、自由権は、最も基本的かつ重要な人権である。だが、教科書は、自由主義、資本主義を敵視する左翼傾向の学者や教員たちが執筆してきた。その結果、昭和20年代以来、公民教科書は自由権に関してほとんど記してこなかった。平成に入って以降の教科書は、昭和の時代に比べれば少し記述量が増え2頁以上の分量を充てているとはいえ、平均的にいえば、1単元2頁で自由権全体を記述している。現行版においては自由権の記述が若干増えた印象があるが、それでも、自由権に2単元4頁使っているのは、教育出版と自由社だけである。多数派である東京書籍、日本文教出版、帝国書院、育鵬社の4社はわずか1単元2頁の中に自由権全体を押し込めている。

 採択率一位の東京書籍を例に見ていくと、自由権総論的な部分に7行、思想や信仰の自由、表現の自由といった精神の自由に12行、身体の自由に8行しか割いていない。資本主義の前提であり今回のテーマである経済活動の自由にも、9行程度しか割いていない。この異常さは、部落、アイヌ、在日韓国・朝鮮人、女性等の差別問題を扱う「平等権」関係に7頁もの分量を割いている点にも現れている。差別問題に異常に大量の頁を割くことは、自由社以外の全教科書に当てはまる特徴である。

無内容な「経済活動の自由」の説明

 さて掲題の経済的自由であるが、東京書籍は「経済活動の自由」の小見出し下、次のように二段落で述べている。

 「人々は、職業に就いて働き、得た財産を生活のために使います。そこで憲法は、自由に職業を選んで働く職業選択の自由や、お金や土地などの財産を持つ権利である財産権の保障、自由に住む場所を選ぶ居住・移転の自由といった、経済活動の自由を保障しています。
 しかし、勝手な土地の利用によって他の住民が不便になったり、自由な経済活動の結果、貧富の差が過度に広がったりしてはいけません。そこで、経済活動の自由は、精神の自由や身体の自由と比べて、法律による制限を受けやすくなっています」(55頁)。

 ここに書かれていることに間違いがあるわけではない。しかし、居住・移転の自由も、職業選択の自由も、財産権も、資本主義にとって、とても重要なものである。にもかかわらず、第一段落はわずか5行であり、「経済活動の自由」の積極的な意義はまるでわからない。無内容である。しかも、第二段落を読むと「経済活動の自由」は「法律による制限を受けやす」いわけだから、余り重要ではなさそうだという印象になってしまう。こんな書き方は、資本主義・自由主義の国の教科書としては欠陥品だと言えよう。

現行版『新しい公民教科書』を読まれたい

 では、経済的自由権についてはどのように記すべきなのだろうか。手前味噌ながら、現行版『新しい公民教科書』をお奨めする。『新しい公民教科書』は、【経済活動の自由】という単元を置き、「職業の自由」「居住及び移転の自由」「財産権の保障と私有財産制」「公共の福祉による制限」と4つの小見出しを設けて説明している。その中で意義があるものを取り上げるならば、「職業の自由」の箇所の次の記述である。

 「民主政治が行われるには、私たち個々人が自立した存在である必要があります。自立した存在であるためには、思想・良心の自由や表現の自由をはじめとした精神の自由がとても大切なものになります。精神の自由を支えるものとして、経済活動の自由があります。経済活動の自由には、大きく分けて、職業の自由、居住及び移転の自由、財産保持の自由の3つがあります」(74頁)。

 共産主義国家においては、人々がバラバラの無力な個々人に分解され、精神の自由が圧殺されたが、その根本的原因は経済的自由の否定にある。したがって『新しい公民教科書』は、これらの経済的自由こそが個々人を独立させ、精神の自由を基礎づけるものである、と記したのである。

 次に意義深いものは、「財産権の保障と私有財産制」の箇所の次の記述である。

 「財産権の保障とは、私たち個々人がもっている具体的な財産権を保障するだけにとどまりません。生産手段の私有制を中心とした私有財産制の保障という意味ももちます。それゆえ、わが国は資本主義経済を採用して、民間の自由な競争に基づき経済発展し、豊かな生活を維持してきました。ですから、生産手段の公有化体制をめざす社会主義制度は、違憲です。社会主義化しようと思えば、憲法改正が必要であることになります」(75頁)。

 私有財産制こそが自由主義・資本主義の根幹をなすものであり、社会主義に移行するためには私有財産制護持の立場をとる「日本国憲法」の改正が必要であるということは、憲法学の通説ないし多数説の立場である。したがって『新しい公民教科書』は、「日本国憲法」下のわが国が私有財産制をとっていることをきちんと記したのである。『新しい公民教科書』単元25【経済活動の自由】を是非とも読まれたい。


この記事へのコメント

aki
2024年01月09日 23:38
この様な書込大変失礼致します。日本も当事国となる台湾有事を前に 日本の国防を妨げる国内の反日の危険性が共有される事を願い書込ませて頂きます。

今や報道は無法国の代弁者となり、日本の国益は悪に印象操作し妨害、反日帰化の多い野党や中韓の悪事は報じない自由で日本人の知る権利を阻む異常な状態です。

世論誘導が生んだ民主党政権、中韓を利す為の超円高誘導で日本企業や経済は衰退する中、技術を韓国に渡さぬJAXAを恫喝し予算削減、3万もの機密漏洩など数知れぬ韓国への利益誘導の為に働きました。

メディアに踊らされあの反日政権を生み、当時の売国法や“身を切る改革”に未だ後遺症を残している事、今も隣国上げや文化破壊等、

日本弱体と利益誘導に励む勢力に二度と国を売らぬ様、各党の方向性を見極め、改憲始め国の成長と強化が重要で、しかし必要なのは、
日本人として誇りを取り戻し、世界一長く続く自国を守る意識だと多くの方に伝わる事を願います。