ウクライナ戦争における正義の問題……ウクライナによる民族浄化政策をやめさせよ

 ウクライナ戦争に関する記事を10本以上書いてきたが、前回はロシア側が勝利する公算が高いということを記してきた。今回は、戦争における正義の問題を見ていこう。ロシア側、ウクライナ側、欧米側三者のいずれに正義があるか、という問題である。これまでは、欧米側に正義はないが、ウクライナにもロシアにも言い分があり、正当性があるという言い方をしてきた。

2014年2月、ウクライナはロシア語禁止政策を採用した

しかし、以下の張陽氏の動画をみて、果たして、ウクライナには正当性がどの程度あるのだろうかと考えるに至った。
【第364回字幕あり】ロシアウクライナ戦争は2月16に開始した?
https://youtu.be/_lTxs0BNnDo

 この動画は、スイス軍参謀本部大佐で戦略アナリストのジャック・ボード氏の情報分析を基につくられている。ボード氏は2014年当時NATOにもいて、ドンバス地域の親ロシア派武装抵抗勢力の武器の出所について調査していた。

 この動画を見ると、ウクライナ戦争の本質が、ウクライナによるロシア語住民に対するジェノサイド政策を認めるか否かという点にあることが分かる。何度も言ってきたが、ウクライナのやってきたことは、中国によるウイグル民族ジェノサイドと同じことである。経過を振り返ろう。

 2012年、ウクライナはロシア語をウクライナ東部と南部の公用語にする法律を制定した。ところが、2014年2月の「マイダン革命」により親欧米派政権が成立し、この法律は2月23日に廃止された。

 また、この親欧米派政権は、ヤヌコビッチ政権の時代に定められた2042年までの租借期限を無視して、クリミヤ半島の黒海艦隊を追い出そうとした。クリミヤはロシア防衛のための要地である。また、ロシア系住民が多数派の地域である。それゆえ、2014年3月、地域の国民投票に基づき、クリミヤ自治共和国をロシアに編入した。これに対して、アメリカは対ロ経済制裁を行い、EUにも日本にも追随させた。

 ウクライナ及び外国傭兵によるロシア語住民の虐殺

 親欧米派政権のロシア語禁止政策は、東部南部のロシア語住民の多い地域ではとうてい受け入れがたいものだった。各地で反対運動が行われたが、順番に弾圧された。その折起きた象徴的な事件が5月2日の「オデッサの惨劇」である。

 ロシア語地域であるハルキウ、オデッサ、マリウポリは弾圧に屈し、ドンバス二州だけが抵抗を続けた。2014年5月、州内に独立国ではなくウクライナ内の自治を目指す共和国(ドネツク自治共和国、ルガンスク自治共和国)を、国民投票に基づきつくった。この動画では、国民投票はあくまで独立を求めるものではなく、ウクライナの主権を認めたうえでウクライナ内の自治を求める国民投票であったことが強調されている。

 同年4月、ドネツク州の西隣に位置するドニプロペトロフスク州の知事コロモイスキーは、自己が所有する軍事会社であるアゾフを使い、東部二州への攻撃を行わせ、ロシア系住民の殺害をやらせた。コロモイスキーは、ウクライナ、イスラエル、キプロスの三重国籍のユダヤ人であり、ゼレンスキーのスポンサーでもあり、ウクライナの所有者とさえ言われる存在である。

 このアゾフ連隊のような国内ネオナチとアメリカ人やカナダ人などの外国人傭兵、10万人ほどが主力となって、ドンバス地域で虐殺をし続けて来た。彼らを訓練したのが、アメリカやカナダや英国などの欧米勢力であった。民主主義を標榜する諸国家が、ロシア人抹殺を狙うナチスを養成してきたのである。

ウクライナから亡命した軍人が結集

 これに対して、ドンバス地域は、外国人傭兵やネオナチに武装抵抗しつづける。ウクライナ政府は、抵抗勢力の武器はロシアから流れてきていると考えた。しかし、ボード氏によれば、NATOで調べてみると、抵抗勢力はロシアから武器ももらっていなければ何の援助も得ていなかったことが分かったという。では、抵抗勢力の武器はどこから来たか。弾圧に向かったウクライナ軍の中から脱走したロシア語を話す兵たちが、二つの自治共和国の下に結集して武器を提供し、武装抵抗の主力となっていたのである。ウクライナ軍は武装勢力との戦いで負け続けていたため、ウクライナ軍の武器はそのまま武装勢力に渡っていったという。

 上記のことをこの動画で聞いて、プーチンが侵攻時にウクライナ軍側から大量の投稿兵が出ると楽観的な予測をしていたという情報のことを想い出した。そもそもウクライナの正規軍はドンバス戦争には消極的であるから、ロシア軍が侵攻しても積極的に戦わないであろうとの予測があったのであろうと感じた。

二度にわたってミンスク合意を破ったウクライナ

 その結果、2014年9月、ミンスク合意が成立し、停戦が成立する。しかし、ウクライナのポロシェンコ大統領は、合意を破ってドンバス地域を武力攻撃し始める。ドンバス側はこの攻撃をはねのけ、もう一度、2015年2月にミンスク合意が結ばれる。二回の合意はいずれも、ドンバス地域の自治を認める内容であった。この停戦合意の後、2015年3月、ポロシェンコ大統領は、ロシア系住民を虐殺していたコロモイスキーを解任し、2016年4月には、対ロシア系住民虐殺派のヤツェニューク首相が辞任した。

 この平和への動きを歓迎できないのがジョージ・ソロスであった。ソロスは、2015年4月1日付ニューヨークタイムスに寄稿し、「この停戦合意によってウクライナ民主化運動は失敗した、停戦合意は破棄されるべきだと主張した」(馬渕睦夫『デイープステート)156頁)。そして、EUは、ウクライナに対して、ロシアと戦争ができるように援助せよと結論付けたのである。

 ソロスの叱咤に応えて、アメリカやイギリス、カナダなどは、ウクライナに世界中のネオナチと多数の外国人傭兵を集め、訓練した。ウクライナ軍の訓練も行った。そして、2019年4月25日、ウクライナ議会は、言語をウクライナ語だけに統一する法案を通した。この法案は、国民の半分に事実上、母語を禁止する通達となった。ミンスク合意は二つの自治共和国の自治を認めており当然に二共和国におけるロシア語使用を認めていたから、この法案はあからさまなミンスク合意違反であった。いや、それ以前に、多民族国家であるウクライナでウクライナ語だけを強制する政策は欧州言語憲章違反である。専門家たちは、将来国の分断をもたらすことになると警告していた。

 この政策は、何度も言ってきたが、中国が南モンゴルでモンゴル語を禁止した政策と同じものだ。中国が「少数民族」の言語を次々奪っていき、ジェノサイド政策を進めているのと同じ思想的背景に基づく政策である。この政策をとることによって、ウクライナは全体としてナチス的、ネオナチ的にならざるを得なくなったのである。

 私に言わせれば、このロシア語禁止政策こそが、ウクライナ戦争の本質的な原因である。この政策こそが民族浄化政策を生み、ロシア語住民ジェノサイドを引き起こしてきたのである。そして、その陰には、アメリカ国家とジョージ・ソロスという代表的なディープステートの人間がいるのである。

2月16日にウクライナ戦争は始まった

 話を続ければ、2019年5月、ゼレンスキーが、ポロシェンコに代わり、大統領になる。ゼレンスキーは、もともと特に反ロシア派というわけではなかったようだが、だんだんネオコンに引き込まれていく。トランプ政権からバイデン政権に変わると、アメリカは反ロシア的な政策をとるようになる。そして、ウクライナは停戦合意を守らないばかりか、アメリカの後押しを受けて(むしろアメリカの意向を受けて)、NATO加盟をめぐって、ロシアと対立を続けていく。

 その間ずっと、2014年から8年間、ドンバス戦争が続いていたが、本年2月7日、マクロンがミンスク合意に戻ろうと提案したとき、ゼレンスキーは断っている。ウクライナは、明確に、ミンスク合意という条約を一貫して守ろうとしなかったのである。

 そして、2月16日、新たな段階を迎えた。突如、アメリカの支援の下に、ドローンを使った砲撃が正確に集中的にドンバス地域に対して行われた。この砲撃は、二共和国には大きな脅威となった。この事実はマスコミには隠され続けているが、集中砲撃の効果を知っているバイデンは、17日に自信を持ってロシアによる数日中の侵攻を予言した。

 2月21日、プーチンは、一旦拒否していたドンバス二共和国の独立を承認した。23日、二共和国は救援を要請し、24日、ロシアは国連憲章第51条の集団的自衛権に基づき「軍事作戦」としてウクライナに侵攻した。結局、2月16日、ウクライナのドンバス集中砲撃で戦争が始まったと言える。

ウクライナや欧米にロシアを非難する資格はない

 そう捉えるならば、戦争の勝敗に関わらず、ウクライナ側や欧米側に正義は存在しない。彼らにロシアを非難する資格はないと言えよう。ウクライナがロシア語禁止政策とロシア語住民の虐殺をし続けてきたことを考えれば、ロシアを非難する資格は限りなくゼロに近くなろう。

 戦争開始を2月24日と捉えるならば、真っ先にロシアの侵攻が目に入ることになり、ロシアの侵略戦争、ウクライナの自衛戦争、ウクライナの正義の戦争を支援する正義の味方である欧米や日本という構図となろう。特にウクライナによる民族浄化政策を無視すれば、完全にこの構図が出来上がる。だからこそ、この民族浄化政策は隠され続けるわけである。

 この民族浄化政策を考察の範囲に入れればロシアにも正義が生れてくるが、そうだとしても、2月24日開戦となれば先に仕掛けたのがロシアだということになるから、やはり、この構図はかなり揺らぐだろうが生き続けると思われる。

 しかし、2月16日にウクライナが戦争を仕掛けたという話になれば、事は全く違ってこよう。仮に東部にだけ侵攻していたならば、ロシアは《民族浄化に苦しむ二共和国を支援する正義の味方》になることもできたのではないか。

 ところが、ロシアは、キエフ攻略によるウクライナ軍の降伏という楽観的なシナリオを信じて少ない犠牲で済むと考えたせいか、全面侵攻した。その結果、民族浄化の問題が後景に退き、ウクライナの独立を守る自衛戦争であるとの位置づけが真っ先に生まれることになった。2月16日戦争開始説に従ったとしても、ウクライナの自衛戦争だという位置づけは充分できるのである。

 とはいえ、ウクライナの東部二州における民族浄化問題を視野に入れ、2月16日にウクライナが戦争開始したと捉えれば、ウクライナは自衛戦争とは言え、真っ黒な自衛戦争を戦っていることになろう。逆に、ロシアは侵略戦争ながら、ウクライナによる民族浄化をやめさせる正義を孕んだ戦争、制裁戦争的な戦争を戦っているといえよう。たとえて言えば、ベトナムによるカンボジア内戦への介入が近い例であろうか。
*読み直してみると、この小見出し部分の第一段落からここまでの部分は、論理的に詰められていない。行ったり来たりしている。言いたいことに変わりはないが、一度突き放して文章整理をする必要があろう。 2022年6月21日

 二段落前の「ところが」以降の論理展開は私の中でもっと検討の必要なものであるが、隠されている二点、すなわち民族浄化政策の問題、2月16日ウクライナによる集中砲撃の問題をきちんと視野に入れて考えるならば、むしろロシア側にウクライナ側よりも正義があることは明確である。

ウクライナによるロシア語禁止政策、民族浄化政策を批判せよ

 欧米側はといえば、正義は全く存在しない。そもそも、東部二州におけるネオナチによるロシア語住民虐殺の件を知りながら、欧米は何もしなかった。国連がロシアの侵略を止められなかったから国連の在り方が問題だといわれるが、それ以前に、国連は、東部二州における問題について何もしなかった。ミンスク合意もウクライナに守らせようとはしなかった。それどころ、アメリカやイギリスに至っては、ネオナチを育成し、ミンスク合意を破るような方向にウクライナを導いた。今回のウクライナ戦争の第一の責任者はアメリカであり、それに追随した欧米諸国である。

 欧米諸国は、中国の民族浄化政策を批判する。それならば、なぜ、同じ政策をとるウクライナを批判してこなかったのか。批判すれば、欧州言語憲章違反だということを欧米諸国が言い続ければ、ウクライナの政策も全く異なっていたのではないか。そうすれば、国内内戦も生まれず、ウクライナ戦争に至ることはなかったのではないか。世界も日本も、ウクライナによるロシア語禁止政策、民族浄化政策を批判し、それらの政策をやめさせるべきである。

ともかく、以下の動画をご覧いただきたい。
【第364回字幕あり】ロシアウクライナ戦争は2月16に開始した?
https://youtu.be/_lTxs0BNnDo

  転載自由




6月20日追記 
 6月、アメリカ国防総省は、ウクライナにおいて米軍主導の生物学研究所を46も運営していたことを認めたという。これはウクライナ全土に及んでいる。ロシアが全面侵攻した一つの理由は、この危険な生物兵器を生み出す研究所の調査にあったと言われる。アメリカのCDCの支部が日本にできると言われるが、生物兵器を研究するのではないかとの危惧がどうしても出てくる。

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