ウクライナ戦争雑感(2)――何度でも言う、自衛戦力と交戦権を肯定せよ

夢の中で怒鳴る

 この数日、体調が悪く寝込んでいた。今朝、夢を見ながら怒鳴っていた。怒鳴るとともに目を覚ました。夢の内容は明確には覚えていないが、戦後70数年を振り返るイベントが私の目の前で行われており、その内容を大声で批判し怒鳴り声を挙げている夢だった。私自身が何を叫んでいたのかは具体的には覚えていないが、そのイベント内容には何の思想性も感じられなかった。「思想性のかけらもない」というような怒鳴り声を挙げていたのだった。

 夢の中で叫ぶこと自体が何年振りかの出来事だったが、こういう大人数に対して叫び声を上げるような夢を見るのは人生初のことである。

ウクライナが民族浄化政策をとる事実を無視する日本

なぜ、こういう夢を見たのであろうか。ウクライナ戦争発生以来、この米露戦争を仕掛けたディープステート又はアメリカに対する怒りが膨れ上がった。とともに、今後の日本に対して大きな不安と絶望が本当に大きくなっている。この不安と絶望は、いろいろな要素からなる。戦時国際法のことも何も考えず、中立法規に違反して既にウクライナに対する軍事援助に乗り出してしまった日本政府の軽率さにはがっくり来た。また、日本独自の情報判断を行わず、アメリカの一方的な情報だけを信じて、ロシア悪論とウクライナ善論を信じ込み、一方的にロシア叩きをする保守派の浅はかさには信じられない思いをした。

とりわけ、保守派が、ウクライナがネオナチ国家である明確な事実を捉えられないことにはがっくり来た。ウクライナは人口の3割程度が用いるロシア語を禁止する政策をとっている。そして、東部ドンバス地域でロシア語住民を虐殺し続けてきた。この政策は、中国によるウイグル民族他のジェノサイド政策と同じものである。こういうウクライナの悪をわざと見ようとしない保守派にはなんともなぁという感じである。もっとも、この点に関しては日本全体がそうであろう。

もう一つ、保守派の認識には間違いがある。それは、ロシアとソ連を混同して、ロシアを共産主義国家とみていることだ。ロシアは、世界で最も有力なナショナリズム国家である。共産主義の本質は家族・私有財産・国家の否定にある。とするならば、現在のアメリカの方がこれら三者の否定に熱心であり、共産主義思想に染まっていることに注意しなければならない。親の懲戒権を奪おうとする日本も同じ傾向にあることを知らねばならない。

この期に及んで安倍偽改憲案しか出せない保守派

しかし、一番の問題は、ウクライナ戦争をめぐる事実認識のことではない。現在のマスコミや情報体制を前提にする限り、特に保守派が誤った事実認識に陥るのは必然だからである。問題なのは、そういうことではなく、ウクライナ戦争が起き、日本の安全保障をめぐる危険性がこれだけクローズアップされ、安全保障意識がこれほど高まってもなお、自衛戦力と交戦権の肯定を行なおうとする政治勢力が出てこないことである。

5月3日の偽憲法記念日には、安倍晋三元首相は、またも9条第3項に自衛隊明記を行う憲法改正案をまた提起した。また、日本維新の会も、同じ改正案を提案した。つまり、自衛戦力も肯定しないし交戦権も肯定せず、日本の自主防衛体制を構築しないという方針を明確にしたのである。

ウクライナ戦争を見て分かったことは、アメリカが日本の危機にあたって日本とともに実際に戦うかどうかは不明であるということではないか。ということは、実際にアメリカが闘うとしても当たり前のことではあるが、日本防衛のためには日本自身が戦力=軍隊を持って率先して戦い、アメリカには補助をしてもらうという形になっていくことを意味するのである。

こんな改憲論では、日本の防衛には役に立たないであろう。

自衛戦力と交戦権の肯定を

  それゆえ、何度も言ってきたことだが、9条解釈を転換し(「日本国憲法」成立時の時点に戻って)、自衛戦力と交戦権の肯定を行うべきである。そして、核兵器を保有することである。

 自衛戦力と交戦権の肯定を行うには、何度も言ってきたが、3つの方法がある。

➀「日本国憲法」無効確認とともに、「国家運営臨時措置法」を制定する。これは、「日本国憲法」から前文と96条を削除し、9条第2項に自衛戦力と交戦権を肯定する条文を置いたものとする。
②9条第2項の解釈を転換し、自衛戦力と交戦権の肯定を行う。これは、長尾一紘氏の説に基づく。
➂「日本国憲法」を改正し、9条第2項で自衛戦力と交戦権を肯定することを明記する。


 拙著『自衛戦力と交戦権を肯定せよ』(自由社、2017年)で述べたように、良い策から並べれば、➀②➂の順序となる。しかし、➂は無効である「日本国憲法」に憲法としての正当性を与えかねず、マイナス要素も多い策である。➀か②を勧めるものである。

 これまでの流れからすれば、②の策に基づき、長尾説を政府が採用すればすぐに実現できる。この策を政策として採用する政党が現れることを望む。新党がいくつか出てくるようだが、新党には、せめて②の策を採用されんことを望むものである。

 興味のある方は、拙著『自衛戦力と交戦権を肯定せよ』を読まれたい。

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