「従軍慰安婦」「強制連行」「強制労働」不適切の閣議決定――「つくる会」運動12年ぶりの画期的成果

 4月27日、菅内閣は、掲題の通り、画期的な閣議決定を行った。これは、慰安婦問題、徴用問題に関する日本維新の会・馬場伸幸衆院議員の質問主意書に対する答弁書を決定する中で決めたものである。

産経デジタル〈政府、「従軍慰安婦」表現は不適当 「強制連行」も 答弁書閣議決定〉(産経デジタル2021.4.27 13:33)によれば、答弁書の内容は次のようである。

答弁書では、平成5年の河野洋平官房長官談話で用いられた「いわゆる従軍慰安婦」との表現に関し「当時は広く社会一般に用いられている状況にあった」と説明した。ただ、その後に朝日新聞が、虚偽の強制連行証言に基づく報道を取り消した経緯を指摘した上で「『従軍慰安婦』という用語を用いることは誤解を招く恐れがある」とし、「単に『慰安婦』という用語を用いることが適切だ」と明記した。
 一方、労働者の動員に関しては「移入の経緯はさまざまであり『強制連行された』『強制的に連行された』『連行された』とひとくくりに表現することは適切ではない」と指摘した。その上で、国民徴用令に基づく徴用・募集・官斡旋(あっせん)により行われた労務は、1932年発効の「強制労働ニ関スル条約」で定義された「強制労働」には該当しないとして「これらを『強制労働』と表現することは適切ではない」とした。


 傍線は私が付したものだが、この閣議決定は、河野談話より上位のものである。したがって、慰安婦問題に関して言えば、教科書においては「従軍慰安婦」との表現はできなくなる。また、徴用問題に関しては「強制連行」「強制労働」との表現も許されなくなる。画期的な出来事である。この間、松沢成文参院議員を初めとして、かなりの議員による努力があったようだが、さすがに議員が動くと成果が出るものだと改めて感じた。

 しかし、ようやくここまで来たか、という感慨にふけった。昨年1月には、闘う道はあるが、「つくる会」が生き残る確率は極めて低いと感じていた。だが、やれること、やらなければならないことはやり抜くというつもりで、黙々と仕事をしてきた。歴史の人たちは戦闘意欲をかきたてられて、一年間よく頑張ってここまで盛り返してきたし、歴史教科書の再検定合格まで勝ち取って来た。そして、とりあえず生き残ることができた。

 確率は低いと考えていたとはいえ、一応、ここまでは一年前に立てた計画通りである。しかし、さらに今回の閣議決定は、歴史関係のことに関与していない私からすれば、予想を超える成果である。考えてみれば、横浜市採択という成果をあげた2009年の採択戦以降、「つくる会」はほとんど成果をあげられずに来た。2011年、2015年、2020年の採択戦すべてにきちんと参戦することすらできなかった。それどころか2020年には一発不合格になり、そのあおりを食らって、公民教科書に関しても実質的に採択戦を戦うことはできなかった。そして「つくる会」は潰される寸前まで行った。歴史戦の方で多少とも成果を出しつつも、1年前、6年前、10年前、すべての採択戦とその後始末で苦しい思いをしてきた。
しかし、今回の閣議決定は、歴史戦において、教科書改善運動において大きな成果である。採択数の大幅増加よりも大きな成果である。それゆえ、掲題には〔「つくる会」運動12年ぶりの画期的成果〕と題したのである。

 とはいえ、かつての日本の左翼学生運動家のように反日反米思想に染まったバイデン政権、「結果の平等」思想・ポリコレ思想に染まったバイデン政権が、いつまた反日ポリコレを押し付けてくるか分からない。警戒をしておかなければならない。


 なお、「つくる会」は、4月28日、声明を発した。つくる会FAX通信から転載する。

第443号 令和3年(2021年)4月28日(水)  


「従軍慰安婦」・「強制連行」の文言は不適当
菅内閣が質問主意書に対する答弁書を閣議決定!


<声明>「従軍慰安婦」・「強制連行」の文言に関する閣議決定を受けて

令和3年4月28日
新しい歴史教科書をつくる会

菅内閣は4月27日、日本維新の会の馬場伸幸衆議院議員から出された質問主意書に対し、「『従軍慰安婦』という用語を用いることは誤解を招く恐れがある」とし、「従軍慰安婦」の文言を不適切とする答弁書を閣議決定しました。また、先の大戦中に、国民徴用令による朝鮮から日本本土への労務動員を「強制連行」と表現することについても、同様に不適当としました。

今回の菅内閣の閣議決定は、長年にわたって続いてきた「従軍慰安婦問題」の局面を大きく変える転機となり得るものです。この問題に一貫して取り組んできた当会としては、この度の決定を心より歓迎し強く支持いたします。また、長年にわたってこの問題に関心を寄せ、当会の活動を支持していただいた多くの国民の皆様、国会質問や閣議決定に至る経過の中でご尽力いただいた与野党の国会議員の皆様に心より感謝いたします。

この閣議決定は、「従軍慰安婦問題」の解決に向けて大きな一歩を踏み出したものですが、今後直ちに取り組まなければならない課題が三つあります。

第一に、文科大臣は、中学校歴史教科書に「従軍慰安婦」を記述した山川出版社に対し、訂正勧告を出し、供給先の学校に対し、ページの差し替え等の措置を取るよう行政指導をするべきです。また、採択が進行中の高校「歴史総合」の教科書に対しても、文科大臣が訂正勧告をすることを求めます。

第二に今回の閣議決定の論理からは、教科書に「従軍慰安婦」を書くことはダメだが、「慰安婦」ならよいという議論になりかねません。一般の歴史研究の対象として「慰安婦」を取り上げる場合とは異なり、学校で使う教科書に「慰安婦」を取り上げること自体が、教育上意味がないだけでなく有害です。このことを広く明らかにし、「慰安婦」の記述そのものを中学、高校の教科書から一掃する課題があります。

第三に、この問題の根源となり、著しく国益を損ねた河野談話を撤回することが最終的な解決となります。
これら三つの課題の解決を目指して当会は、今後も各方面に働きかける活動を粘り強く続けていきます。国民の皆様のご支援を引き続きお願い申し上げます。



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